おすすめ漫画『春の呪い』

 

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今回は、
 
このマンガがすごい!2017』にてオンナ部門第2位を受賞した
 
 
、、、のご紹介になります!
 
 
主人公は『夏美』。妹の『春』のお葬式のシーンから始まります。
 
姉の夏美は、お葬式で妹の棺に向けて「…お姉ちゃんが行くまで待ってて、すぐに行くから」と呟くくらいの『度が過ぎた妹大好きっ子』です。
 
そして『妹が大好き過ぎる姉』死んだ妹に呪われながら『妹と婚約予定だった彼氏』付き合うお話です。
 
この文だけ読むと昼ドラっぽいドロドロした雰囲気に満ち溢れてますね!
 
 

 
「付き合い始めたその日から 春への罪悪感で眠れない
  いっそ死んでしまおうかと3秒に一度考える」
 
夏美は、大雑把で行動的、頼りがいのあるお姉さんです。
妹大好きっ子な夏美は春への罪悪感を抱えながらも、妹の(元)彼氏の『冬吾』と付き合います。
何故なら、交際の条件として『妹の春と二人で一緒に行った場所に連れていく』を提示しているからです。
 
しかし夏美にとっての冬吾は、世界の全てとも言える程の存在だった春を奪った相手です。
夏美だけが聞いた妹の最後の言葉は
 
「…冬吾さん…」
 
です。春と冬吾が付き合いたての頃は、殺したい程に冬吾を憎んでいました。
それでも『妹が好きだから、妹の思い出を辿りたい』という想いから、冬吾との交際を続けます。
 
夏美と冬吾が付き合う事になってから、夏美は自殺未遂を起こす程に、罪悪感に押し潰されそうになります。
これが『春の呪い』というタイトルにもなっている部分ですね。
 
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それでは冬吾はなぜに夏美と付き合うのでしょうか?
 
 

 
『妹が死んだなら その姉と付き合ってみてはどうか という話になったそうだ』
 
冬吾が夏美と付き合う理由は、なんと『血筋』の為。
冬吾の家も、夏美と春の家も、ざっくり言うと『良い家系』だったんですね。
 
そもそも春と冬吾の交際も、両親の提案でのお見合いから始まっています。
政略的な始まりですが、冬吾は無口でクールな性格、自分の意志をあまり持たずに親に反発する理由も無い為に、無愛想ながらも春と交際します。
 
そして『春が死んでしまったのなら、その姉と付き合う』という、
まさに『パンが無ければお菓子を食べれば良いじゃないか』というマリー・アントワネットばりの畜生ぶりのある提案を夏美にします。
 
 

 
夏美:春が好きだから、春と冬吾が二人で行った場所に行きたい
冬吾:春の家計の血筋が欲しい為に、夏美と付き合うように親から提案された
 
もう気まずさしか見えない!!!
、、、と思いきや、大雑把な夏美とクールな冬吾の相性は意外に良く、ギクシャクはありながらもデート(春の思い出巡り)は楽しげに進んでいきます。
春=ボケ、冬吾=ツッコミという黄金コンビで、芸人顔負けの天然コントを繰り広げる場面もあります。
 
 
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「第一印象は暗い女だった」
 
二話は冬吾視点で、春の生前の物語から語られます。
 
冬吾は超がつくほどお金持ちなお家柄のお坊ちゃんです。
幼い頃から両親に言われた通りの人生。優秀な学校へ行き、大手銀行に就職をして、そして春と付き合います。
 
春の体調が悪化して入院をするようになってから、冬吾と夏美は春の病室にて顔を合わせる機会が増えます。
冬吾はこの頃から夏美と会う機会が多くなりますが、夏美は徹底して冬吾と目を合わせません。冬吾は夏美のことを第一印象で「暗い女」と表現します。
冬吾は夏美のことを「明朗な快活さと、ふとした瞬間それに矛盾した暗さを見せる 夏の終わりのような女」と表現し、矛盾による違和感と興味を持ちます。
 
 
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そして春の死後、夏美と冬吾は付き合います。
デートを重ね、月日は流れて『その日』はやってきます。
 

 
「お前からの条件を満たせなくなった
  つまり今日限りで俺とお前の交際は終わりという事になる」
 
夏美からの条件提示があっての交際、つまりその条件を満たせなくなったら交際は終了。
夏美はこの事を忘れていた、というよりも考えないようにしていたので思考が止まる。そしてたたみかけるように冬吾は、
 
「…お前と交際出来るよう母を説得したのは俺だ」
 
この言葉に夏美は呆然。そりゃあ今まで両親から言われた政略結婚だと思っていたので驚きますね。
そして冬吾は、夏美が今後自殺をするのではないかという心配をします。
 
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お互いに想いがあり、
お互いにそれを感じて、
それでもお互いの確証が持てない状態で、話はこじれます。
 
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そして冬吾は、「もう二度と会う事もないだろう」と言いその場を去ってしまいます。
 

 
夏美は冬吾と別れた後、春の気持ちを少しでも理解しようと、ネットサーフィンをして似たような事例を調べます。
するとSNSサイト(twitterぽい)で闘病の事を呟いている『アキ』という人物を見つけます。
なんとなしに見ていると、診察日が春のそれと同じ。内容的にもぴったり一致。
偶然にも夏美は『春が生前に使っていたSNSアカウント』を見つけてしまうのです。
 

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そしてここで第一巻が終了!!!
 

 
なんといいますか、、、
昼ドラと火サスをごちゃ混ぜにして恋愛要素をトッピングしました!というような第一巻でしたね笑
 
個人的な所感としては、『春の呪い』のピックアップしたい好きポイントは3つ。
 
 
●独白の多さ
独白がすごく多いんですよね。春と冬吾、二人の素直な感情が大量に読み手に流れ込んできます。
「殺してやりたい」 「今すぐ会いたい」 「これは本当に現実なのか?」 
「初めて誰かと別れるのを惜しいと思った」 「まるで性交渉の直後のような感覚」 「罪悪感と背徳感で頭が痛む」 
、、、、、こんな感じのがたくさん流れてきます。
キャラの心情を予想するのも好きですが、春の呪いみたいに言葉を選ばない素直な感情がたくさん表現されているのも好きです。
 
●登場人物の表情、画の迫力
感情を全面に押し出すような表情で読み手に刺さってきます。ほんと刺さります。
特に夏美が葛藤するシーンは迫力満載です。
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●ラストの展開
この記事では1巻までの内容までしか載せないので、詳細は書きませんが、、、、
なんといっても2巻後半の展開に胸が熱くなります!!!
2巻のテーマは『呪いからの解放』です。
 
SNS上で語られる春の本音とは?
そして、妹の思い出を辿るという条件を満たせなくなった、二人の今後は?
 
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
この記事を読んで頂いた方は、少しでも『春の呪い』を読みたいと思って貰えたら嬉しいです。